「この前の咳止めが良かったので、買いにきました」
そう言ってご来店くださったお客様。
前回のつらい咳き込みがたった2日でスッと治まったのですから、また同じ薬を頼りにしたくなるお気持ち、とてもよく分かります。
ですが、お話を伺いながら「コホン、コホン……」と力なく響くその咳を聞いたとき、私は「あ、今回は前のお薬を飲んではいけないな」と感じました。
前回のご相談のときは、力強く咳き込むような、そして一度で出すと止まらないような勢いがありました。
でも、今日の咳はどこか頼りなく、小さく響く音でした。詳しくお話を伺っていくと、手足やお腹の冷えなど、体の中が寒がっているサインも隠れていました。
実前のように勢いのある咳を鎮めるお薬と、今回のようにお身体の冷えや体力の低下からくる咳を温めて守るお薬とでは、効き目がまったく逆になってしまうこともあるのです。
このことを丁寧にお伝えし、今回は今のお身体に合う、別のお薬をご提案させていただきました。
「咳」という症状だけを見れば、同じように思えるかもしれません。でも、咳の音や声の力、その時のお身体の状態によって、正解となる処方は全く違ってきます。
だからこそ私たちは、今この瞬間のあなたのお顔を見て、声を聞き、一番ぴったり合うものをお選びしたいと思っています。
「いつもと何か違うな」「前と同じ薬でいいのかな」と迷ったときは、どうぞ遠慮なく声の調子を聞かせにいらしてくださいね。
