「伯父のみそ汁に有毒植物を混入した疑いで少年逮捕」というニュースがありました。
報道によると、使用された疑いのある植物は 夾竹桃(きょうちくとう)。
夏に咲く美しい花ですが、全草に オレアンドリン・アディネリン という強い毒を含み、摂取すると心臓に作用して命を奪うこともあります。
古代の逸話として、アレキサンダー大王の軍が夾竹桃の枝を串にして肉を焼き、多くの兵が倒れたという話も伝わっています。
この話を耳にすると、薬局で日々感じていることと重なります。
それは―― 自然は「薬」にもなり、「毒」にもなる ということ。
漢方の世界では、植物・鉱物・動物など自然の産物を「薬」として用います。
しかし同じものでも、使い方を誤れば毒となり、適切に扱えば大きな力を発揮します。
たとえばトリカブトの根(附子)。強い毒を持ちますが、しっかりと加工することで冷えや痛みを取る大切な薬になるのです。
つまり、自然そのものが善悪を決めるのではなく、人がどう理解し、どう扱うか が大切なのです。
薬剤師としてお伝えしたいのは、
「自然由来だから安全」という思い込みに注意すること。
そして「毒にも薬にもなる」という自然観を持つことが、日々の暮らしをより安心で豊かなものにしてくれるのではないかと思います。
花を愛でるときも、薬草を手にするときも、
自然の力を敬い、正しく使う心を大切にしていきたいですね。
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(担当:アカホシ)